額縁の重要事項

学校新聞の編集を手伝うかたわら、女性団体の本部でボランティアをしている。 色あせたジーンズに花模様のシャツをはおった彼女は、背の高いやせた身体を投げだすように腰をおろすと、元気よく言った。
児童精神医学と神経科学が専門で、4人の幼い子どもの父親でもあるGは、ノースダコタ州の生まれだ。 温厚そうな丸顔に赤茶けた短いひげをたくわえた彼は、ティーンエイジャーがクリニックにやってくるたびに、ノースダコタ仕込みの田舎くさい冗談で笑わせようとする。
Nが髪の一部だけ紫色に染めているのを見て、Gは薄くなりかかった自分の頭をたたきながら言った。 「おや、その髪いいね。
私にもそれくらいあったらなあ」NIHでは、毎週火曜日がプレインスキャン・ナイトになっている。 10号棟の地下に降りるGは、アメリカでもトップクラスのスキャナー使いだ。

火曜日の午後5時から真夜中まで、彼は地下の部屋で最新の研究テーマに取りくむ。 そのテーマとは、正常なティーンエイジャーを理解することだった。
NIHには大きなレンガ造りの建物がいくつもあるが、ここにやってくるティーンエイジャーはたいてい病気だ。 10号棟の3階にも、統合失調症と診断された、うつろな目の子どもたちが入る病室がある。
だが火曜日の夜、10号棟の白く長い廊下を通って地階に向かうティーンエイジャーたちは、病気ではない。 髪が紫色で、ぶかぶかのパンツ姿であっても、彼らは申し分なく正常で、ふつうで、健康だ。
ここに来るのは、1回あたり60ドルの謝礼に釣られた親が、実験台になることを承諾したからである。 こうして子どもたちは、科学のためという大義名分のもと、うるさい音を立てるばかでかいMRI(磁気共鳴映像装置)に頭を突っこみ、脳をスキャンされることになる。
ティーンエイジャーの脳を調べるときの最大の障害は、彼らがあまり死なないということだ。 14歳の脳は、赤ん坊やおばあちゃんの脳に比べるとはるかに入手しにくい。
動物の場合も、思春期の脳の発達を調べるのは容易ではなかった。 動物の思春期は人間とちがって、ある生物学者の言葉を借りるなら「まばたきする問」に過ぎてしまうので、長期的な研究には不向きなのだ。
それに素材として退屈だという先入観も根強かった。 神経の発達という点では、10代の脳はあらかたできあがっていて、見るべき現象や興味深い点はないと思われていた。
誰もが知っている思春期の変化というと、ホルモンとか陰毛、にきびなど、うっとうしいものばかりだった。
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